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A-1話「掃除屋」
A-2話「厄介者」 A-3話「人形師」 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** スターテイル A-1話 「掃除屋」 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** 地平線まで続く、不毛の砂漠地帯。 普段であれば通り道にも使えない味気ない僻地。 ここに訪れた珍しい客を出迎えるために、鈴生りのハイエナが集まってきた。 「墜落か。」 地上からは砂粒のようにしか見えなかった人類の叡智の結晶。 悪を寄せ付けぬ眼光も、敵を引き裂く爪も、見る影もない。 ただひたすらに沈黙して、色を失った躯を砂上に横たえていた。 「なぜ、落ちたんだろう。事故など起こすとは思えない。」 「攻撃でも、受けたんじゃないか。先史遺産を嫌うものは多いだろう。」 「そんなもの、効かないでしょう。もしそうなら、近くにいた我々も無事では済まない。」 「それもそうだな……」 「とにかく、まずは怪我人の治療だ。」 「ああ。」 彼らは、掃除屋と呼ばれる存在だった。 掃除屋と言っても、掃除や片付けをして、報酬を貰って生活の足しにしているわけではない。 彼らは、「ゴミ」の出現に応じて現れると、それを全て回収し、持ち去ってしまう。 そのまま闇市に売ることもあれば、スクラップにしたり、自らの生活や仕事に使用することもある。 廃品に依存してその日暮しをしている浮浪者集団であった。 まともな教育を受けていない彼らに、怪我人の治療などできるはずもない。 するつもりも毛頭なかった。 治療するなど道徳への言い訳で、金品を漁るだけである。 墜落した飛行機に、生存者など、いない。誰もがそう思っていた。 しかし、ひとりだけ、外傷の無い人間がいたのだ。 「……息はないようだが……」 「一応、布を敷いて、そこに放っておけ。生きているなら起きるだろう。」 「もし起きたら、どうするんですか。」 「どうするもこうするもない。殺すわけにもいくまい。安置した後は、触らないでおけ。」 「わかりました。」 こうして、奇妙な死体がひとつ、砂漠に転がった。 「次は我々の番ですかね。」 「馬鹿を言うなよ。こんなところで死ぬなんて御免だぞ。笑えねえ。」 「何が起きたのかわからんが、さっさと取るもん取って、ここを離れよう。異常事態なんて、碌なもんじゃない。」 まさに異常事態であった。 墜落する飛行機など、ここ100年なかった。 先史文明の滅びるその瞬間に、著名な事件でいくつか落とされて以降、有り得ない事件であった。 そもそも、飛行機というものがこれひとつしかなかった。 その最後のひとつが、今、突然、最期の時を迎えたのだ。 「全部グチャグチャだ。壊れてなければ高価そうなんだがな。」 「部品だけでも相当な値段が付くんじゃないか?」 「俺たちじゃわかんねえよ。小さくて、軽くて、重要そうなところだけ選んで持っていけ。」 「これはどうだ?原型を保ってる。重そうだけど、売れるだろ。」 「それはダメだ。触るな!」 「なんですか急に。」 「燃料タンクかもしれない。墜落したんだ。爆発のひとつやふたつ、するだろう。」 「確かに、燃えたような跡はない。これから燃えるかもしれないな。」 「時間が経ってますよ。もう大丈夫じゃないですか?」 「飛行機の燃料なんて、何の原料を使って飛んでるかわからない。それらしいところには近寄らないでおけ。」 「車の解体なら慣れたもんだが……飛行機の構造など、この星で詳しいやつなんていないだろうな。」 「わかりました。気を付けますよ。」 ゴミ漁り作業は、危険そうな部分を避け、順調に進んでいた。 しかし、毒とも薬とも判別の付かぬ品物があった。 大きな紫色の球体、それも大量の。 いくつかは割れているようだったが、中身は無くなっていた。 「それにしても……こりゃ一体なんだ?妙なものを積んでいるようだ。」 「爆弾とかではないですよね……」 「違うと思うけど、気をつけてくれ。」 「わかってるよ。」 そのとき、地面を揺さぶり、轟音が響いた。 「なんだ?」 「まさか……」 「おい!あれを見ろ!!」 彼らが指差した先には、巨大な影があった。 まるで生き物のように脈動しながら、砂上を這いずっている。 その正体が何なのか、誰も知らなかったが、誰もが理解した。 その影は先ほどの球体と、同じ紫色をしていた。そして、その影は、安全や親しみとはかけ離れた容姿をしていた。 「逃げるんだ!!早くしろ!!!」 誰かの叫び声をきっかけに、彼らは我に返って走り出した。 その背中に、砂上の怪物は、容赦なく襲いかかった。 その日を境に、砂漠の掃除屋たちは姿を消した。 彼らはどこに消えたのか。 誰にもわかるはずがなかった。 彼らは、あの後すぐに、別の世界へと旅立ったのだから。 彼らは、「ゴミ」として、処分されたのだ……。 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** 「…………」 意識が戻った時、彼女は暗闇の中にいた。 何も見えない。 ただ、自分が横になっているということだけはわかった。 手足を動かそうとしても、動かない。 声を上げることもできなかった。 (今、僕はどこにいるんだろう。) 微かに音は聞こえてくる。 誰か、会話しているようだ。 (人に見つかったのか?まずい……) 身動きもできない状況では、どうしようもない。 諦めて、相手の出方を伺うことにした。 やがて、ぼんやりと、辺りが見えてきた。 どうやらここは、どこかの砂漠の真ん中のようである。 空には太陽が輝いていて、赤い砂を鋭く照らしていた。 聞こえてくる声の主たちは、忙しく作業を行っているようだった。 (僕のことは見ていないようだ。) 自分が攻撃や拘束を受けているわけではないことを知り、安堵した。 しかし、彼らの運んでいる荷物にはよく見覚えがあった。 紫色の、大きな球体……。 そのうちのいくつかは、割れていた。 それが何を意味するのか、彼女はよく知っていた。 これから何が起こるのかも……。 「これは、なかなかいい値段になりそうだな。」 「ああ。これだけあれば、しばらく遊んで暮らせるぜ。」 「でも、こんなにたくさんあって、どうやって運ぶんですか?」 「運びやすいものだけを選ぶしかない。そろそろ、その作業に入るか。」 「わかりました。」 これから何が起こるのか、知るはずもない。 彼らは彼らの作業を進めていた。 (そんなことをしている場合ではない……) 彼女がそう思った瞬間、目の前が真っ暗になった。 「……!?」 突然の出来事に、混乱する。 轟音とともに、地面から巨大な影が現れた。 「なっ、なんだこいつは!」 「わ、わからない!逃げろ!!」 「ああっ、待ってくれぇー!!」 「助けてくれえ!」 「死にたくないぃ!」 「嫌だぁ!」 「ひいっ!」 「来るな!」 「やめろ!」 「たすけて……」 無数の悲鳴と共に、影は彼らを呑み込んだ。 助けなければ……彼女は、彼らを助けるすべを持っていた。しかし、体は動かなかった。 自分の無力さに絶望した。こんなことが起こるとは、思っていなかった。 人々が犠牲になっていくのを、ただ眺めていることしかできなかった。 その時、彼女の視界の端で、何かが動いたような気がした。 (……?) それはとても弱弱しい印象の少女だった。 だが、少女はバケモノに恐れず、こちらに向かってくる。 「……」 「掴まって!ここから逃げないと。」 少女は彼女を助けに来たようだ。 二輪の乗り物に乗っている。確かに、これなら逃げられそうだ。 「体が動かないんだ。」 彼女はなんとか声を出すことができた。 「じゃあ、ちょっと乱暴だけど、抱えて持っていくね。」 少女はそう言って彼女を担ぎ上げた。 彼女を抱えたまま、少女はバイクに跨り、発進しようとした。 しかし、悲鳴はまだ聞こえてくる。まだ……間に合うかもしれない。 「……僕をあのバケモノの元に運んでくれないか?」 「わかった。」 少女は力強くうなずいた。そして、彼女を優しく抱きかかえた。 その腕はとても温かく感じられた。体温を感じることはできなかったが……少なくとも、そう思った。 「行くよ。」 その言葉と同時に、バイクは走り出した。 凄まじい速さだった。 風を切る音が聞こえる。 景色は飛ぶように過ぎ去っていく。 そして、その先には、巨大な影が待ち構えている。 「どうするつもりなの?」 今更、少女は大事な質問をした。 「あのバケモノに、僕をぶつけてくれ。触れれば倒せる。」 「ぶつける?乱暴にぶつけてもいいのね。」 妙に理解が早い。素直なのか、なんなのか。 彼女がなぜバケモノを倒す力を持っているのか、少女はそんなことは疑問にも思わないようだった。 そこには、砂漠の掃除屋たちがいた。 彼らは必死に逃げようとしていたが、すぐに追いつかれ、飲み込まれてしまった。 「くそぉ!どうしてこうなったんだ!!」 「俺たちが何をしたっていうんだ!!」 彼らは、泣き叫びながら消えていった。 (間に合わなかった……。) 「みんな、死んじゃった……。」 「僕たちも危ないよ。戦うのはやめて、このまま逃げよう。」 「うん……。」 二人は、砂上を這っていたバケモノの目前まで迫ってきていた。 立ち去ろうとした時、砂上に横たわる物体を見つけた。 「あれは、さっきの人たちじゃない?」 「……行こう!」 バイクは再びバケモノの元へ飛んで行った。 今度こそ間に合うはずだ。 「思いっきり投げてくれ!」「わかった!」 少女は、渾身の力を込め、彼女を投げた。 「うおおおーっ!!」 彼女は雄たけびを上げ、砂上の怪物の身体に触れた。 その瞬間、砂上は眩い光に包まれる。 光が収まったとき、そこには何も残されていなかった。 「やった!」 「すごい!あなたって強いんだね!」 少女は嬉しそうな声を上げた。 (これでいい。) 彼女は満足していた。 一人しか助けられなかったが……人を助けたのは、初めてだった。 こうして、砂漠のゴミたちは消えた。 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** A-1話「掃除屋」 A-2話「厄介者」 A-3話「人形師」 A-4話「歴史書」 A-5話「町工場」 PR |
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プロフィール
HN:
装甲兵
年齢:
32
HP:
性別:
男性
誕生日:
1992/04/25
職業:
妖精
趣味:
遊戯王・ポケモン
自己紹介:
マイナーポケモンネタデッキが好き
弱いからではなく、強いから好き
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