遊戯王とかポケモンとかイラストとかGIFアニメ
A-1話「掃除屋」
A-2話「厄介者」 A-3話「人形師」 A-4話「歴史書」 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** スターテイル A-2話 「厄介者」 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** 調査団は、奇妙な事故現場を見て困惑していた。 砂漠の中に、巨大なクレーターができていたのだ。 それも一つではない。大小さまざまな大きさのものがあった。 砂漠は静寂を取り戻していた。 「事故調査などしても、もはや、その教訓を役立てる飛行機が無いのだけど。」 調査団の一人が呟いていた。 「飛行船や気球ならある。調査はきっと無駄にならないよ。」 彼女はそう言って、自分の乗ってきた気球を見つめた。 「無駄ってことにしたいのよ。こんな案件に係わってられないでしょう。」 「先史技術の結晶、無敵の『イエロー・スラッグ』が墜落だなんて、普通の事故じゃない。」 実際、この異常事態には多くの国が動揺していた。 普段は外国の事件など興味も無さそうな国から、様々な理由をつけて調査団が入ってきていた。 「鬱陶しいったらありゃしない。こんなところで仕事なんて気分が暗くなるわ。」 調査団の女性は愚痴をこぼした。 「世界最強の先史遺産様がこんな風に壊れるなんて、有り得ない。ミサイルぶち込んでも平気な顔してるのよ。」 「外部からの攻撃ではないだろう。目撃情報では、戦闘があったという話は全く入っていない。」 「ハイジャック?でも何の声明も入っていない。」 「ブラックボックスの解析が終わるまで、何が起こったのかはわからないでしょうね。」 「解析ねぇ……」 ブラックボックスを回収したのは、一番最初に到着した帝国軍だった。 「まともな復元能力があるとは見えないけど。」 「科学力自体は、申し分ないよ。ただ……」 「隠蔽して改竄、お得意技よね。」 ブラックボックスの中身には期待できないようだった。 だとしたら、手掛かりは、機体だけ……しかし、妙な点がいくつもあった。 「掃除屋が漁った跡があるが、しかし……」 「掃除屋は乗り物を乗り捨てて、どこかへ消えた」 「その通り。そして、これはどう見ても、戦利品だ。」 「えぇ……そうね……。」 「戦闘の痕跡が見当たらないんだよなあ。」 「確かに、これじゃ、突然消えたみたい。」 「それに、あのクレーターは、どう考えても、墜落の後にできたものだ。」 「そんなことわかってるわよ。」 「あのクレーターはどうやってできたんだろう?」 「そんなの知らないわ。大方、積載物か何かが爆発したんでしょ。」 「いや、それは無いだろう。あれだけの規模の爆発物が積んであったなら、機体も損傷しているはずだ。」 「それは、そうだけれど……うーん。」 調査団は頭を悩ませていたが、結局答えが出ないまま解散となった。 しかし、一人の調査員だけが、わずかに残ったタイヤ痕を追跡していた。 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** 三人は、砂漠の上を走っていた。 静音の砂上バイクは、定員を超えた荷物を苦にもしていない。 力強く地面を後方に押し流していった。 彼女はこれから、どこに行けばよいのかもわからなかった。 だが、行くあてはあるような気がした。 少女は楽し気に話しかけてくる。 「ねえ!あなたの名前を教えてくれる?」 「名前……。僕は……『フロマージュ』だよ。」 「ふぅ~ん。あなたは魔法使いなの?」 「まあ、そんな感じかな。」 彼女は、自分が厄介者であることを思い出していた。 「君は?」 「私は、『ラジィ』っていうの。私も少し魔法の勉強をしてるんだ。」 「そっか、よろしく!」 (この子と一緒にいれば大丈夫かもしれない) 彼女は、根拠のない安心感に包まれていた。 彼女は、あのバケモノを倒してから、体を動かせるようになった。 バランスをとりながらバイクの後ろに乗り、助けた少年を背負っている。 他にも厄介な荷物をたくさん抱えている……。 この紫の球体は、彼女が管理しなければ危険な存在だった。 (当面の目標は、安全の確保かな……) ついさっき、大きな事件を起こしてしまった。 あの程度で済んだのは、幸運だったのかもしれない。 なにしろ、体が動かなかったのだ。周りに人里が無いのも良かった。 より多くの被害が出ることは容易に想像できる。 「その荷物って、人に見られたら困る物?」 「うん。すごく危ないものなんだ。」 「そうなんだ!すごいね!」 「すごい?」 「さっきみたいに、やっつけてくれるから!」 「そうだね。そのつもりさ。」 ……この少女がいなければ、背中の少年も死んでいた。 (さっきみたいにならなければいいけど……。) 彼女の不安とは裏腹に、砂漠の景色は平和だった。 どこまでも続く砂の大地と、青空。 時々、砂丘に登って休憩する。 彼女は、背中の少年を下ろした。 バイクを調整し、崩れた荷物を整える。 しばらくすると、また背負いなおす。 代わり映えのしない景色の中を、どこまでも進み続けた。 「これからどこに行く?」 「どこか、町があるといいね。その子をなんとかしないと。」 少年は、まだ目を覚まさなかった。 怪我は浅いが、熱が出ているらしい。 「人の多い所は、避けたいな。」 荷物もそうだが……。 背中の少年も、住処であろう掃除屋が消えてしまった。 表社会で暮らせる人間ではなさそうだ。 「そうだね。私も、人の多い所は苦手。」 「荷物を隠せる場所を探そう。」 「顔も、見られたら困る?」 「顔は、大丈夫。名前もね。」 「ふぅん。悪い人じゃないの?」 変な質問だ。こちらも変な質問をしようか。 「君も、僕と同じなのかな。」 「うーん。よくわからないけど、そうなのかも!」 「その箱の中に何が入っているのか、教えてくれないか?」 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** 「またいなくなったの?」 「ああ、ちょっと遠くに出かけるとこれだ。」 調査室では、復元作業をしながら調査員が愚痴を溢していた。 「勝手にすぐいなくなるんだよな。」 「あんなんだから、いつまで経っても副室長なんだよ。」 調査員たちは口々に不満を言い合っていた。 しかし、ひとりの調査員は集中して復元作業に当たっていた。 彼は、機体のフレームの調査を担当している。 金属疲労の痕跡を確認するのが主な仕事だが、解析結果が芳しくないのは明らかだった。 予算が無く、碌な装置が無いのだ。 しかし、彼の興味は別の所に向いているようだ。 それは、機体のフレームに付着していた紫色の液体。 他の調査員には見向きもせず、熱心に調べていた。 そして、ついに答えが出たようだった。 「これは……副室長を待ったほうがいいかもしれないな。」 普段なら、判明したことはすぐに報告するのが当たり前である。 しかし、『イエロー・スラッグ』の墜落事故という重要な事件に、この解析結果……。 政治的な判断が必要なのは彼にも理解できた。 その時である。部屋の扉が開かれ、一人の男が入ってきた。 男は部屋を見渡し、ある一点を見て言った。 どうやら、彼を探していたようである。 男の名は、セイファート。 この国で最も権威のある科学者であり、優秀な技術者でもある。 「おや?ここに居たか。」 「はい!何か御用でしょうか?」 「2号機が、壊れていただろう、部品は発注しておいたから。それまでは1台でなんとかしなさい。」 「助かります。ありがとうございます。」 「それで、例の機体についてだが……なにかわかったかね。」 「……ああ、まだ、解析の途中です。」 「どうかしたかね。」 「いえ、特に問題はありません。」 男は、自分の席に戻り書類を確認し始めた。 信用のできない人物。 実力は間違いないが、その功績はほとんど人から奪ったもの。 室長の席が空いているのに副室長が室長にならないのは、この男の妨害によるものだった。 上の命令を聞かずに自由に動き回る副室長は、上層部から心底嫌われていた。 「また、いなくなったのかね?」 見張り、圧力をかけてくる。そのためにここにいるのだ。 副室長への愚痴で盛り上がっていた調査員たちも、それは重々承知していた。 「まだ現場で調査していますよ。」 「他の国の連中もうろついているのに、大変ですよねえ。」 先程の批判の嵐とは一転、徹底して擁護が行われる。 本当は副室長が一番働いていることは、皆よく知っていた。 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** 嫌な臭い。だが慣れたものだ。 暗い部屋の中で目を覚ます。 何度味わっても、最悪の目覚めだ。 ここは砂漠の廃墟。 砂に埋もれた町。崩れた建物と瓦礫の山が積み重なる、死の世界。 オレは、ここで暮らすことを強いられている。 いつからだったろうか。 ハエのように群がり、ゴミを集めて売る。 そんな生活をずっと続けていた。 オレたちの通った後にはゴミも何も残らない。砂漠の掃除屋なんて呼ばれていた。 昨日もいつも通り、ゴミ漁りをしていた。 昨日の獲物は大きかった。なんとかって名前のすごい飛行機が、墜落したらしい。 見たこともない機械が沢山転がっていた。きっと大きな稼ぎになる。 現場は悲惨な状態だったが、傷ひとつない奇妙な死体があった。 危ない所には触らないようにして、破片を集めて……。 ……いや、違う。その後、どうなった? 周りを見回す。違う。 ここはオレの家じゃない。 「気が付いたのかい?」 声が聞こえた。その声はオレの記憶になかった。 「あの後ずっと眠っていたんだよ。目が覚めてよかった。」 声の方向に目を向ける。 声の主は、あの奇妙な死体だった。 「お前……生きていたのか。ここはどこだ?」 慌てて立ち上がるが、体が動かない。 見ると、鎖のような物が巻き付いている。 これでは、逃げることはできない。 しかし、今はそれより重要なことがある。 ここはどこなのか。この女が何者なのか。そして、オレは何をされるのか。 不安が全身を支配する。冷や汗が止まらなかった。 「ああ、慌てなくていい。縛っているのは、念のためさ。」 「念のため?」 「君がどんな人なのかわからなかったからね。怖い人かもしれないし。」 「どういうことだ?」 「僕たちは君を助けたんだ。そしてここに連れてきた。君は怪我をしていたからね。」 確かにそうだ。意識を失う前の記憶が蘇ってくる。 突然の出来事だった。あれは……。 そう、バケモノが襲い掛かってきたのだ。 掃除屋の仲間たちはみんな、バケモノに喰われてしまった。 オレも喰われるところだった。 しかし、あの声に助けられ、そして……。 そうだ、バケモノはどこに行った!? あたりを見渡す。誰もいない。 やはり夢でも見ていたのだろうか。 しかし、足の痛みは現実であることを示している。 では、何故、この女は無事なのだろう。 「お前は何者なんだ?」 「僕は……魔法使いさ。あのバケモノには詳しいんだ。」 「魔法?あのバケモノも魔法なのか?」 「まあ、そういうことだね。」 「ここはどこなんだ?」 「さあね。大きな街の、空き家だよ。ここに着いたところで、夜になったんだ。」 「夜……お前は寝ていないのか?」 「交代だよ。この子と一緒に来たんだ。」 彼女の指差した先には、別の少女が眠っていた。 「そいつも、魔法使いなのか?」 「うん、そう言っていたかな。」 どうやら、取って食われるというわけではないらしい。 少年はひとまず安堵した。 「これからオレはどうなるんだ?」 「医者に連れて行こうと思っているよ。」 「医者?オレにそんな金はない。」 医者というのは治療費がかかるはずだ。 とても払える金額ではない。 すると、彼女はこう言った。 ―――お金はいらない。その代わりに僕の言うことをきいてほしい。 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** A-1話「掃除屋」 A-2話「厄介者」 A-3話「人形師」 A-4話「歴史書」 PR |
カレンダー
プロフィール
HN:
装甲兵
年齢:
32
HP:
性別:
男性
誕生日:
1992/04/25
職業:
妖精
趣味:
遊戯王・ポケモン
自己紹介:
マイナーポケモンネタデッキが好き
弱いからではなく、強いから好き
最新記事
(04/14)
(04/06)
(03/29)
(03/22)
(03/21)
(03/17)
(03/16)
(03/16)
(03/15)
(03/14)
(02/11)
(12/12)
(12/02)
(11/03)
(10/15)
(07/02)
(06/14)
(03/19)
(03/12)
(03/05)
ブログ内検索
カテゴリー
ビジター
|