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A-1話「掃除屋」
A-2話「厄介者」 A-3話「人形師」 A-4話「歴史書」 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** スターテイル A-3話 「人形師」 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** 赤く輝く地平線。 鋭く照りつける太陽と裏腹に、風は冷たくなっていた。 雲ひとつない空に、星々が輝き始める。 前方のタイヤの跡を辿り、自らの足跡とともに後方の痕跡を消していく。 光が影と変わる中、ひとりの調査員はゆっくりと歩みを進めていた。 彼女の名は『ミュース』。 この国の捜査機関、災害事故調査室。その副室長を務めていた。 しかし今はその肩書きとは関係なく、彼女はただの興味本位で動いている。 彼女は優秀な調査官であり、優れた洞察力を持っていた。 その能力を、椅子に座っているだけのお偉方のために使うつもりはなかった。 それに、彼女には彼女の目的がある。 調査員という仕事は、そのために都合が良かった。 副室長から昇進できないのは、妨害されていることもあるが……。 彼女自身、それほど高い地位に就くことを求めていなかった。 あまり責任の重い役職では、自由に動けない。 権力が必要になる時期もいつか来るとは考えていたが、まだその必要はなかった。 「そろそろ、大丈夫かしら。」 歩いてきた道を振り返る。 尾行は無いようだが……それよりは、偶然に目撃されることが厄介だ。 神経を集中し、注意深く辺りを見回した。 広大な闇の中で、わずかな星の灯りが景色を浮かびあげる。 時の止まったように動かない黒い世界。 宇宙に鏤められた色とりどりの星だけが、静かに廻っていた。 誰もいない。虫一匹の気配も感じられない。 透き通った青い眼が前方を見据える。 突然、大きく、大きく砂煙が上がると……。 彼女は、忽然と姿を消していた。 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** 「この服、似合うんじゃない?ほらほら、着替えてみて!」 「いや、それは、女の子の服なんじゃ……」 「いいんじゃないかな?男が女の服を着ても。」 「断固拒否する。」 「抵抗しても無駄だよ。」 「脱げー!」 「ぐえっ……」 いったい、なにをしているんだろうか……。 オレは、街の服屋で着せ替え人形になっていた。 結局、あれからの数日間、こいつらと行動を共にしている。 宿屋を見つけたり、医者に行ったり、飯を確保したり……。 そして今、服を買いに来ている。 全員、服がボロボロだったからだ。 「怪我はもう大丈夫?」 「ああ、おかげさまで。」 「そっか。それなら、よかった。」 そう言って、少女は微笑む。 その顔に少しドキッとしたが、すぐに我に返った。 「お前はどうしてこんなところにいるんだ?旅をしてるのはわかるけど……。」 「私は、世界を救いたいの。」 「どういうことだ?」 「バケモノに襲われて、死ぬかもしれない。そんな状況になったとき、君も私と同じことを思ったでしょう?『死にたくない』って。」 オレは黙ってうなずいた。 「みんなそうなんだよ。だから、魔法の勉強を始めたんだ。」 「自分の命は自分で守るってことか?」 「自分だけじゃないよ、みんなも!」 「ふぅん……」 この少女の言っていることはわかった。 しかし、わからないことがある。 ずっと気になっていた。もう一人のほうだ。 「お前もそうなのか?」 「そうさ。」 「でも、お前からは魔力を感じないぞ?」 彼女は少し驚いたようだった。 オレは勉強なんて何もしてないし、魔法も使えない。 だが、生まれつき、なんとなく魔力を感じることはできた。 彼女は少し遠くを見ながら、答えた。 「僕には魔法の才能が無いんだ。」 「え?あんなに強いのに!」 少女も目を丸くして驚いていた。 「だったら、どうやってあのバケモノを倒したんだ?」 「ううん、それはね……」 返答に困っているようだった。 俺が目を覚まし、初めて見たときから、彼女は常に余裕をもって堂々と話していた。 いつも薄く浮かべていた笑みが、今は失われていた。 「……そうだね。話しておかないと。」 彼女はそう言うと、椅子に腰掛け、真剣な表情になった。 「実はね、僕もわからないんだ。」 「はぁ!?わかんねぇのかよ!」 「まあ、落ち着いて聞いてほしい。」 落ち着けるか!と言いたかったが、我慢した。 彼女が冗談を言っていないことは明らかだ。 「僕は、あのバケモノを作り出した人を知っている。」 「作った人?」 「その人が、倒し方を知っていたんだ。」 「仕組みはわからないけど、倒し方だけ、教えてもらったってことか?」 「そういうことになるかな。」 「じゃあ、その人がバケモノを作って、世の中にバラまいてるのか?」 「違うんだ。」 「作った人なんだろ?だったらそうじゃないか。何が違うんだ?」 別にそんなに、好きな連中ではなかったけど。 一応、一緒に時間を過ごしてきた仲間だとは思っていた。 オレの仲間たちが殺されたんだ。そして、オレも死ぬところだった。 その犯人だ。オレは少し声を荒げた。 「そいつをブッ倒しに行く!どこにいるか教えろ!」 「それは、無理だ。」 「無理じゃないだろ。お前が教えてくれればいいだけだ。なんで隠すんだ?」 「ちょっと、落ち着いて!」 少女が体を押さえてくる。 「わかった、教えるよ。別に、隠してるわけじゃない。」 「早く教えろ!」 「死んだんだよ。」 「え?」 「殺されたんだ。僕の目の前でね。」 「……?」 「そして、みんな奪われていった。」 「みんな?」 「バケモノだよ。大人しい、良い子たちだったんだ。元々はね。」 「どういうことだ?」 「魔法で作り出された、働き者の使い魔だったんだ。その人は、『人形師』として、有名だったのさ。」 人形師。 魔法を使った職業のひとつだ。 人の代わりに働く魔法のロボットを作るのが、人形師の仕事だ。 ただ、彼女の言うその人は、少し違ったようだ。 「ただ、普通の人形師の仕事はしていなかった。その人は『生き返らせることができる人形』を作ろうとしていた。」 「生き返らせる?死体を操ろうっていうのか?」 「いや、そうじゃないよ。」 「それなら、なんだよ?」 「魂を宿らせようとしていたんだ。つまり、死者を復活させる魔法を研究していたのさ。」 「死者を復活?そんなこと、できるの?」 少女の目つきが変わった。 喰らいつくように、復活の話に耳を傾けている。 そういえば、この子の笑顔が消えたのも、初めて見た。 「さあね。できるかどうかなんて、僕にはわからない。でも、その人は熱心に研究していたよ。」 「そんなの、普通はできないんじゃないか?だって、死んでるんだぜ?魔法とか関係なしに、無理なんじゃ……。」 「そうだね。だから、復活の魔法は完成しなかった。」 「復活は、できないんだ……」 少女はがっかりしたようだった。 「じゃあ、どうして、その人は殺されたんだ?」 「わからない。ただ、とても有名な人形師だったみたいだから、人形を盗むためかもね。」 「人形……そういえば、人形って言うけど、あのバケモノはどう見ても人の形なんてしていなかったぞ。」 「普通の人形は、作ってなかったんだ。みんな、変な形をしていたよ。」 「どんな形?」 少女が興味を持ったようだった。 先程の真剣な表情は消えて、何も考えてなさそうな、無邪気な笑顔に戻っていた。 「うーんとね、大きな木みたいなのもいたし、魚っぽいのもいて……」 「えっ、魚のバケモノもいるの?」 「ああ、いたね。あれはすごかったなぁ……」 質問攻めにされている。 楽しく盛り上がっているようだった。 オレを襲ったあのバケモノは、何の形だったんだろう。 少し気になったが、楽しく質問する気には、ならなかった。 それより、重大な事を思い出した。 服を……着替えなければならない。一刻も早く。 あいつらが話に夢中になっている隙に、オレは大昔の……アイドル?の服を、急いで脱ぎ捨てた。 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** A-1話「掃除屋」 A-2話「厄介者」 A-3話「人形師」 A-4話「歴史書」 PR |
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プロフィール
HN:
装甲兵
年齢:
32
HP:
性別:
男性
誕生日:
1992/04/25
職業:
妖精
趣味:
遊戯王・ポケモン
自己紹介:
マイナーポケモンネタデッキが好き
弱いからではなく、強いから好き
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