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A-1話「掃除屋」
A-4話「歴史書」 A-5話「町工場」 A-6話「」 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** スターテイル A-5話 「町工場」 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** 軒先の人に渡す。 ポストに入れる。 歩く、走る、曲がる。 これで最後だ。 手元にひとつ残った新聞を、郵便受けにねじ込む。 僕はいつものように、配達を終えた。 今日は、給料日だ。 試用期間が終わって、明日からは配達戸数あたりの給料を、上げてくれると言っていた。 今日の給料はまだ安いが、よく働いているから、ボーナスを少しくれるそうだ。 でも、貧乏だからな。たぶん、お金ではないだろう。 先輩のお下がりで、なにかカバンでも、貰えるんじゃないかな。 僕は営業所に戻り、荷物を片付けた。 眼鏡に付いた砂埃を拭き取る。 所長はどこに行ったんだろう? 営業所を出た時には、所長は忙しそうに何か計算をしていた。 誰か、支払いを滞納していたのかな。 所長にとって、新聞代の滞納者に取り立てに行くのは、いつものことだった。 「お疲れ様です!」 後ろから、誰かに声をかけられた。 振り返ると、見たことのない男が立っていた。 黒い髪の男だ。 年は、二十代前半くらいだろうか。 この街ではあまり見かけない、しっかりとした黒いスーツを身に纏っていた。 靴も黒いし、カバンも黒い。その男は黒ずくめだった。 「こんにちは。私は、『災害事故調査室』の者です。」 男は、名刺を翳しながら、胸元のバッジを摘んで見せた。 「災害事故調査室?」 こんなところに、何の用だろうか? 「所長なら、いませんよ。」 「ああ、そうですか……どのくらいで戻るでしょうか?」 男は、苦笑しながら言った。 「さあ、わかりません。でも、昼ご飯は必ず食べる人ですよ。昼には戻るかも。」 「うーん、昼まで待つしかないですか……仕方ない。」 「僕でよければ、話を聞きますよ。」 「おお、助かります。私は、この前の『イエロー・スラッグ』の事故で、目撃者を探しているんですよ。」 あの飛行機の事故か。新聞の一面に載っていた事故だ。 ここ数日は、その話題で持ちきりだった。 「それで、この街の話を聞かせて欲しいんです。新聞屋さんなら、地域のことに詳しいと思って。」 「はい。いいですよ。今日の仕事は、終わりましたから。」 「本当ですか?」 「ええ。」 「ありがとうございます。それじゃあ、こちらへ……」 男の後に付いて行くと、近くの喫茶店に入った。 「コーヒーをふたつ、お願いします。」 「コーヒー、僕は苦手なんですよ。水でいいです。」 「おや、そうでしたか。これは失礼しました。」 男は、さらにサンドイッチをふたつ注文した。 不愛想な店員は、メモを取ると、無言で店の奥に去って行った。 「それで、聞きたい事って?」 「はい、この街のことを、お尋ねしたいのです。ここ数日で、変わったことはありませんか?」 「変わったこと?」 「例えば、事件があったとか、知らない人が歩き回っているとか。普段と違うことです。」 「うーん、事件は、とくにないですよ。それと、知らない人なら、たくさん歩き回っています。」 この街は、宿場町だった。 この土地は、特に何もない場所だ。 しかし、交易のためのキャラバンや、帝国軍の連絡隊、遺跡の発掘団など、様々な移動ルートの交差する場所だった。 何もなかったこの土地は、交通の要所として、発展を遂げていた。 人の行き来の多いこの街では、知らない人が歩いていることは、普通のことだった。 「配達で歩き回っていて、世間話もするけど、目撃者とかも、特にいなかったと思いますよ。」 「そうですか……。」 男は残念そうだった。 「災害事故調査室って、どこにあるんですか?」 「首都ですよ。ペロタンの向こうです。」 「そんなに遠くから?」 首都は、西のクレーターの向こう側にある。 「ええ、でも、『イエロー・スラッグ』の事故現場よりは、近いですから。」 そういえば、事故現場は東のほうだった。 「東のほうから来た旅行者を見た覚えはないですか?大きな荷物を持っていたとか。」 「ああ、それならいたと思いますよ。関係あるか、わかりませんけど。」 あの宿屋にいた、三人組。 一人乗りのバイクに荷物を載せて、買い物をしていたな。 楽しそうに服を買っていて、とても事故や事件には関係なさそうだったけど。 「本当ですか?少しの情報でも助かります。ぜひ案内してください。」 「わかりました。まだ宿屋にいると思いますよ。」 僕は、調査室の男を案内するために席を立った。 「あなた、フェブリフじゃない?こんなところで合うなんて、奇遇ね。」 道を歩いていると、後ろから女の声がした。 振り向くと、透き通るような青い眼の、金色の長い髪の女がいた。 長耳の人だ、珍しいな。 多くの人が行き来するこの街でも、あまり見かけることはなかった。 「あれ、副室長。なぜここに?現場に行ったのでは……」 調査室の男は呆気に取られているようだった。 「また、抜け出してきたんですか?」 「ええ、スイートポテトを食べに来たの。ここの名物よ。」 女は有名な菓子店の紙袋を男に掲げて見せた。 香ばしい、いい匂いがする。 サンドイッチを食べたばかりだが、もうお腹が空いてきた。 「副室長、そんなことしてる場合じゃないですよ。今回の事件は……」 「どう?何か手掛かりは見つかった?」 「ああ、はい、この子に連れて行ってもらうところです。」 「この子に?」 女は僕の顔をじっと見つめてきた。 「東から来た三人組がいると言うので、一応話を聞いてみようかと。」 「へえ、何か聞けるといいわね。私も付いていこうかしら。」 「はい、お願いします。ちょっとは働いてくださいね。」 女も付いてくるようだった。 男の上司のようだが、スイーツを食べ歩いて仕事をサボっているような適当な女だ。 堅い雰囲気だったが、この女が混ざってきたことで少し気楽になった。 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** 土と金属と油の匂い。 オレとラジィを乗せたバイクは、大通りから離れ、少し奥まった路地を進んでいた。 自動車は高級品だ。あまり綺麗な新品の車を乗り回していたら、不審に思われる。 なるべく見た目がボロボロで、中身はしっかりしている中古の車を探して買うことにした。 かっこいい車を欲しがっていたフロマージュは、不服そうだった。 しばらく新作の車をプレゼンしていたが、彼女は諦めて留守番をすることになった。 「……ここかな?」 ラジィはバイクを止めた。 オレたちは、とある町工場の前に立っていた。 崩れた壁と屋根の隙間から、薄暗い光が差し込んでいる。 ここなら、朝早くから職人が働いていると聞いていた。 ジャンク品を集め、修理して組み立てた車を売っているらしい。 オレが砂漠の掃除屋をやっていた時も、こういったボロボロの工場に、よくジャンク品を売っていた。 ラジィは工場の扉を開け、顔を突っ込んだ。 「すみません、誰かいますか?」 声が響く。砂漠で朽ち果てた廃墟のように、静かだった。 「誰もいないみたい。」 「おかしいな。扉には鍵が付いているのに、かかってない。」 「出かけてるのかな?」 「待っていれば戻ってくるかもしれない。ここで待つことにしよう。」 「うん、そうだね。」 オレたちは、入り口の前でしゃがみこんだ。 辺りを見回すと、壊れた車や、エンジンのようなものが転がっている。 今は、完成品は無いのだろうか? 工場や、別の倉庫の中にあるのかもしれない。 工場の中を見てみようかとも思ったが、勝手に入るのはまずい。 大人しく、時間を潰すことにした。 「どんな車にするんだ?」 「えーっと、荷物が載せられれば、大丈夫だよ。あとは、壊れにくいのがいいかな。」 「速さとかは、いいのか?」 「うーん、速い方がいいんだけど、でも、目立っちゃうよ。」 「なんだ、そんなこと気にしてるのか。大丈夫だよ。速く走れる車でも、ゆっくり走ればいいだけじゃないか。」 「ダメだよ。私、運転ヘタだから、そういうのできません!」 そういえば、いつもバイクのアクセルはベタ踏みだった。 車なんて運転して、大丈夫なのかな……。 バイクに乗れるのはラジィだけだったから、今までラジィが運転していたけど。 車を買ったら練習して、オレかフロマージュが運転したほうが、いいかもしれない。 「車が用意出来たら、どこに行く?元々は、どこに行くつもりだったんだ?」 「首都のほうに、魔法の学校があるんだ。そこで勉強しようかなって。」 ラジィは、魔法使いになるために、魔法の勉強中と言っていた。 世界を救うために、偉大な魔法使いを目指しているそうだ。 「学校って、行っても大丈夫なのか?ちゃんと入学できるのか、わからないだろ。」 「わからないよ。だから、行ってみるの。」 「そんな遠くまで、わからないけど行ってみるのか?」 「だって、他に何も思いつかないよ。」 「まあ、そうだけどさ。」 ラジィは、行動してから考えるタイプらしい。 オレたちが初めて会った時も、そうだった。 どうするのか方法も聞かずに、フロマージュの言う通りにして、一緒にバケモノを倒したそうだ。 オレはその時、悲鳴を上げながら逃げまわったり、気を失っていたから、見ていないが……。 一緒に行動したり、話をしていると、ラジィは確かに、そんな感じだ。 人の言うことをすぐに信じて、疑わないようだ。 「それに、私、もっといろんな世界を見たいし。他の国にも行ってみたいな。」 「じゃあ、旅しながら自分で勉強すればいいんじゃないか?オレも付いていくし。」 「えっ、付いてきてくれるの?」 「当たり前だろ。オレも、他に何も思いつかないからな。」 「えへへ、ありがとう。」 ラジィはこの後も、人助けのために、魔法の勉強を続けるらしい。 フロマージュは、どうするつもりなんだろう。 殺された人形師とは、仲が良かったのかな? だとしたら、その犯人は、仇ってことになる。 犯人を、捜しているのかな。それとも、盗まれた人形だろうか。 たぶん、どっちもだろう。 旅をしながら、一緒に探してやろう。 ふたりの目的は、だいたい、わかった。 問題は、オレ自身だ。今言った通り、何も思いつかない。 だが、それは仕方ないと思った。 ずっとゴミを漁って売るだけの生活だったオレは、世の中のことを何も知らなかった。 今日、明日、明後日をどうやって食っていくかで精いっぱいで、それ以外、考えたことがなかった。 ふたりと一緒に旅をしながら、考えよう。 こんな奴らからは、そのうち逃げ出すつもりだった。でも、それは、しばらく後回しになりそうだ。 オレたちは、工場の前で座ったまま、話をして時間を過ごした。 しかし、結構時間が経ったが、人が戻ってくる気配はない。 「まだ、来ないのかな?」 「もう、一時間は経ったぞ。変だな。」 少し、嫌な予感がした。 何か事件でもあったのだろうか。 「ちょっと、中に入ってみよう。病気で倒れてるのかも。」 「そうかも!じゃあ、急いで見てみよう。」 「ああ、行こう。」 オレとラジィは立ち上がり、工場の中に足を踏み入れた。 中は薄暗く、埃っぽい匂いが充満していた。 「誰もいないね。」 「うん、どこにいるんだ?」 工場の、埃や油の匂いに混じって、変な匂いがした気がした。 何かの薬品かもしれない。ここは工場だ。机や棚には、触らないように気を付けた。 工場の中には、様々な箱や機械があった。 ゴミ漁りで見たことがあるような気がするが、それが何なのかは知らなかった。 オレたちは、奥へと進んだ。すると、突然ラジィが大きな声で叫んだ。 「待って!」 オレは、声に驚いて、立ち止まった。 そして、後ろを振り向くと、そこには黒い大きな塊があった。 「なんだ!?」 オレが叫ぶと、ラジィがオレの腕を思いっきり引っ張る。 「動かないで!」 ラジィに引っ張られて、後ろに下がる。 すると、その黒い物体は動き出し、こっちに向かってきた。 ラジィが前に出て構えると、呪文を唱えた。 左手の指輪が、赤い光を放つ。 「星よ集まれ!獣よ歌え!牙の輝きよ、光の矢となりて……」 黒い影が、視界を横切った。 出来上がりつつあった赤い光の矢は、砕け散った。 代わりに赤い鮮血が視界を染め上げる。 黒い影は、ひとつではなかった。 明かりの無い工場の闇の中には、無数の目が光っていた。 そのバケモノは、 魚の形に似ていた。 *** ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= ☆-= *** A-1話「掃除屋」 A-4話「歴史書」 A-5話「町工場」 A-6話「」 PR |
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プロフィール
HN:
装甲兵
年齢:
32
HP:
性別:
男性
誕生日:
1992/04/25
職業:
妖精
趣味:
遊戯王・ポケモン
自己紹介:
マイナーポケモンネタデッキが好き
弱いからではなく、強いから好き
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